~3Pシュート~コーナーの攻防
皆さん、こんにちは。ヒューガです。
今回は「コーナーからの3Pシュート」について語ろうと思う。
僕が教えているチームには、ジャンプシュートが上手な選手が多く、とくにコーナーからの3ポイントシュートは期待値が高い。
期待値とは!?
期待値とは、(シュート率)×(そのエリアで得られる得点)の事を言う。
例えば、2ポイントエリアであるエルボーからのシュート確率が40%だったとする。
この場合、0.40×2=0.80である為、エルボーからの期待値は0.8となる。
また、3ポイントエリアであるトップからのシュート確率が30%だった場合、単純なシュート確率ではエルボーよりも低いが、期待値を当てはめると、0.30×3=0.90である。この為、トップからの期待値は0.9となり、エルボーからの期待値よりも高くなる。この期待値が1.00を超えてくると、1回のオフェンスで1点以上を獲得できる可能性があり、とても得点効率の良いオフェンスを選択できていると言える。
近年では、単純シュート率よりも、この期待値を重要視しているチームも多い。我々もご多分に漏れず、この期待値を注視している。
期待値の分析
僕の大好きなバスケチームである、NBAのゴールデンステート・ウォリアーズもB.LEAGUEの川崎ブレイブサンダースもゴール下(リング周り)のシュートと3ポイントシュートの期待値がとにかく高い。これは、戦略や戦力、オフェンスシステムなどの違いはあれど、「いかに効率良くゴール下を攻め、ディフェンスが収縮したところに、3ポイントシュートを狙う事」もしくは逆に「積極的に3ポイントシュートを狙い、ディフェンスが引きつられてスペースが出来たところに、ドライブなどを用いてゴール下へアタックする事」を念頭にプレーし、チームとして共有されている事が推測される。
また、上記に挙げた2チームのみならず、ゴール下のシュートと3ポイントシュートの期待値が高く、戦術のキーポイントに挙げているチームは多い。自チームのシュート期待値を分析・活用し、逆算したオフェンスシステムを用いる事は、いまや現代バスケットのセオリーと言ってもいいだろう。
コーナースリーのオフェンス
冒頭にも述べたように、我々のチームはコーナーからの3ポイントシュートに対する期待値が高い。これにはいくつかの理由があるのだろうが、明確な理由は分かっていない。僕の推測だが、
- 3ポイントラインからゴールまでの距離がトップやウイングと比べ短い事
- サイドラインとの距離が短い為、ドリブルを用いてのシュートより、アシストパスからのキャッチ&シュートが多い事
- コーナーにボールマン以外のオフェンスプレイヤーがいる場合、そのプレイヤーのマークマンはヘルプディフェンスに奔走する。その為、ヘルプ&リカバリーやローテーションの強度が保てなくなると、ワイドオープンになってしまう事
などが挙げられる。
我々は、自チームのシュート期待値が高い「コーナーからの3ポイントシュート」を如何に効率的に、効果的に打てるかを逆算し、オフェンスシステムを構築している。
しかしながら、もちろんリスクもある。
- シュートが外れ、相手にリバウンドを抑えられた場合、速攻に繋がれやすい事
- コーナーにボールを置いた場合、サイドラインとエンドラインに囲まれている為、トラップディフェンスを仕掛けられやすい事
などである。
コーナースリーのディフェンス
我々以外にも、コーナーからのオフェンスを得意としているチームやプレーヤーは星の数ほど存在する。その様なチームと対戦し、勝ち切る為にも、コーナーからの仕掛けに対してのディフェンス強度の向上は、チーム一丸となって取り組んでいる課題のひとつである。
ここへのディフェンスで大切な事は「ヘルプ&リカバリー」と「ディフェンスローテーション」の強度と速さと正確性を高める事だと考えている。
また、コーナーからの3ポイントシュートに対するディフェンスを日々の練習から意識し、強化する事で、チームのオフェンス向上にも繋がっている。
この事から、我々は「コーナーからの3ポイントシュートを如何にクリエイトするか。コーナーからの3ポイントシュートを如何に守るか」を至上命令とし、日々の練習に取り組んでいる。
最後に
チームのプレーヤーに話を聞くと『得意なプレーはウイング(45度)からのジャンプシュートです』と答えるプレーヤーが多かった。実際に試合や練習中にシュートチャートを取ってみると、確かにコーナーからよりも、ウイングからのアテンプト(シュート試行数) の方が遥かに多かった。
この事から、得意なシュートエリアと確率の高いシュートエリアは異なる場合がある。
また、あまりデータを用いずに感覚だけでバスケをしているプレーヤーは「得意エリアからのシュートが一番確率が高い」と思い込んでしまっている事もある。
もちろん、バスケにおいて、「得意」や「感覚」はとても大切な要素である。
もし、チームとして行き詰りを感じたり、プレーヤーとしての伸び悩みを感じていたら、期待値のような、数字を用いた違う角度からのアプローチを行うことで、視野が広がるのではなかろうか?と感じた今日この頃である。